あきらめるか、債務整理を追求するか
日本が好きだから国に寄付すれば良い、という気持ちにはまだなれない。
外銀の方が“守秘”という点では信頼できるし、噂にもならない。
もちろん、その場合も金融資産を全部預けるということはできない。
ほんの一部を試しに預けてみる程度だ。
なにしろ、相手は海の向うだからね。
世界の金持ちが増えている。
最大の理由は経済発展であるが、金融市場や資本市場が発展し、さまざまな有利な利殖手段が開発され、提供されるようになったことは重要である。
いまや、金持ちが自己の、あるいは証券マンなどのアドバイスで、豊富な金融商品や手法を駆使して“カネがカネを生む”資産運用をグローバルに展開できる。
また、これを可能にするコンピュータや通信手段の発達も見逃せない。
プライベートバンキングの資産運用でも欧米では「安全第一」から「良い運用パフォーマンス」を求める顧客が多くなっている。
資産運用の中心は証券市場である。
この意味で証券会社や投資顧問会社の職務は極めて重要であり、プライベートバンキングに最も近いところに位置している、と自覚せねばならない。
大手は子会社に信託銀行や、投資顧問、あるいは投信運用会社も持っている。
グループでプライベートバンキングを考え、これらを活用できる日もそう遠くないだろう。
しかし、投資家にとって証券市場や証券会社のイメージはいつでも“良い”とは限らない。
ある大手証券会社の営業に配属された新入社員の話を聞く機会があった。
入社してわずかの訓練を受けてすぐに営業で「飛び込み」というアポなしの個別訪問の毎日であるという。
30年前と少しも変わっていない。
彼は、「NTT株を上げてから来い」と目の前で名刺を破られた時は、悲しいというよりあ然として声も出なかった、という。
でも、「もう慣れた、用はない」「株はコリゴリだ」「カネなんかないよ」「ウルサイ、帰れ」などはいつものことだ。
しかし、たまに、本当にたまにだが、話を聞いてくれる人もいる「そのうちによくなるから頑張れよ」と励ましてくれた時は涙が出たという。
このように証券市場と証券会社の信頼回復は普通の投資家レベルではまだまだの感がする。
しかし、金持ちの投資家となるとちょっと感覚が違うようである。
金持ちの投資家はすでに大量の有価証券を持っており「株は上がることも下がることもある」ことをよく知っている。
有価証券を持っている金持ちは決して証券市場を無視しているわけではない。
株式市場に対して強気、弱気の意見の相違はあっても投信や債券、あるいは為替も含めて資産運用市場の重要性は充分に認識している。
もともと彼らが金持ちになれたのは資本主義の発展のおかげであり、証券市場のおかげである。
証券市場のありがたみも彼らは身にしみて分かつているのだ。
こういう富裕層に証券会社がプライベートバンキングの思想と方法で接近したことがあるだろうか。
単純にファイナンシャルプランナーを増やしたり、セールスマンに税務知識を詰め込めば、ということではプライベートバンキングの顧客にはできない。
顧客になったとしても株や債券を売買するだけとしたら、これまでと何ら変わりない。
ある証券会社では、ビッグバンを控えて社員教育に力を入れ、どうしたら「証券ビジネスで手数料を稼げるか」という課題に取組んでいる。
手数料が自由化されたら、投資家は手数料の安い方へ流れる。
水の流れのようなものだ。
どうしたら、単純な有価証券の売買に情報、サービスなど付加価値をつけて、それに値する手数料をいただけるか、ということである。
そのためにはセールスマンが「ファイナンシヤルプランナー」として、@専門情報力(アナリスト及びファイナンシャルプランナー)、AノTソコン駆使力、B語学力(英語)の3つの技術力をつけなければならないとしている。
この3つを駆使して「資産管理型営業」を具現しようということだ。
これは大変なことだが、ビッグバンで日本の市場が国際化する以上、当然要求されることだ。
日本長期信用銀行では、50%の社員がすでに英語など外国語を“使える”としている。
新たに入ってくる社員は全員1つの外国語をマスターさせるという。
SBCと提携する長銀としたら、当り前のことだが、提携に賭けるその意気込みは「投資銀行は人がすべてだ」ということが分かつているからだろう。
この証券会社はそれ以上のことを狙っている。
すなわち、欧米のプライベートバンカー並み、それ以上の“力”をつけるように社員に期待し、教育しようとするものだ。
この証券会社は過去の手数料収入第一主義を反省して「資産管理型営業」を推進しようとしている。
そのために営業マンに最低必要な知識、技術の武装を義務づけている。
すなわち、@ファイナンシャルプランナーの資格、A証券アナリストの資格、Bエクイティ・クオンツのマスターである。
これらはすべて社内外の試験にパスすることが要求される。
その上に英語が要求されるのだから、営業マンは大変だ。
昼間一生懸命働いて、夜や土日に勉強せねばならない。
この会社の試験はいつもむずかしいことで、証券界では定評がある。
ファイナンシャルプランナーの研修講座は、97年度より内容がリニューアルされ4ヵ月間の個人コースと法人コースがある。
個人コースでは、税務、相続、保険、不動産、資産運用などの分野の専門的なカリキュラムが用意されている。
法人コースはこれにM&Aや公開業務、事業承継が加わる。
通信教育で添削問題と最後には本試験があり、添削問題と合わせ70点が合格ラインとされる。
証券アナリストの試験は、(社)日本証券アナリスト協会の検定試験を受けなければならない。
これは大変むずかしい。
毎年のようにチャレンジして合格するまで頑張らせる。
英語は英検2級以上を目指す。
英語ができないと外国の最新情報が分からないし、海外取引もできない。
海外勤務ももちろんできない。
エクイティ・クオンツの習得には、知識レベルを二段階に分けた社内の講座がある。
これも最後には終了試験がある。
人材育成はプライベートバンキングの基本である。
この証券会社ではファイナンシャルプランナーを資産管理型営業の推進の中心に位置づけて、将来のプライベートバンキングの布石にしようとしている。
証券会社には社員セールスマンの他に歩合外務員、あるいはコミッションセールスマンと呼ばれる営業マンがいる。
彼らは固定給なしの歩合給(通常手数料の40%。
60%は会社へ)だけのセールスマンである。
ちなみに、アメリカでは証券会社のセールスマンはすべて歩合給である。
バブル崩壊後、長びく証券不況で収入が落ちて歩合外務員の数は大幅に減ったが、最近採用を増やしている証券会社もある。
彼らは証券外務員としての試験に合格し、日本証券業協会に登録しなければならない。
不祥事があれば直ちに登録を取り消され、その日から営業はできなくなり、職を失う。
きびしいプロの世界である。
彼らはどこかの証券会社に所属し、営業場といわれる事務所に机と電話を借りて営業を行う。
顧客は自分で開拓せねばならない。
交通費やノートやボールベン代もすべて自弁である。
営業は株式が中心だが、相場の見方、顧客にすすめる銘柄や売買のタイミングもすべて自分の意見を持たなければならない。
泉証券という中堅証券会社がある。
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